公正証書とは？またその活用法（２０１４／６／２３）

「公正証書」という言葉は恐らく幾度かは耳にしたことがあると思いますが、その詳細な実態はあまり知られていないと思いますので、今回はその活用法を含めてお話したいと思います。


世間一般では売買・貸し借りなどの契約をする際、当事者同士で作成した契約書にお互いが署名捺印をして契約成立となります。
（法律上の成立時期は置いといて・・）


しかし、中には「あんな契約書作った覚えがない」「あれの契約書は偽造だ」「こんな内容なら契約しなかった」と契約後揉めることも少なからずあるでしょう。

そこで、後々の紛争を予防するために、権威ある「公」の「証人」に契約の内容や当事者を確認して書類を作って貰うことができます。この書類を「公正証書」と言います。

この「証人」は何者かと言いますと、「公証人」と呼ばれる公務員であり、元検察官や裁判官、果ては法務局長など錚々たる面子だった人がなります。つまり「公正証書」とはこれらの法律のプロ中のプロによるお墨付きの書類となるわけです。

というわけで、一旦「公正証書」になった契約書は、通常の契約書よりも遥かに高い（むしろほぼ絶対的に近い）証明力を有します。
そのため、「公正証書」で契約したという圧迫感は相当なものであり、ほとんどの人は必ずその契約を守ろうとするでしょう。


しかし「公正証書」の真の恐怖は、その契約を履行しなかった時に襲ってくるのです！
それは、「公正証書」で契約した内容を履行しなかった場合、裁判をしなくとも即「強制執行手続」ができる点にあります。
言い換えると、「公正証書」で決めた約束を破った場合には一切の言い訳ができずに、即座に給料や不動産が差押えられてしまうのです。（一応抵抗する手段はありますが、裁判に比べてかなり不利なのは否めません）


ただし、そんなすごい「公正証書」も３つの大きなデメリットはあります。
費用が高い （百万円以下の契約でも４千円以上、1億円を超えると４万円以上かかります）
手続が面倒 （原則、当事者同士で公証役場を予約して一緒に行く必要があります）
時間がかかる （内容にもよりますが、大体１～２週間くらいかかります）


と、以上のことを考えると、
個人間の大きな金額の契約
後日紛争性の考えられる書面作成（多額の相続財産のある方の遺言書）
関係が不和な当事者のする契約（離婚の慰謝料や養育費の支払のある協議離婚書）
などをする場合は、契約書を公正証書で作成することをお勧めします。