司法書士と漢字（２０１４／６／２５）

我々司法書士は業務の中心が書類作成のため、誤字にはかなり気を遣います。

中でも、登記の申請書については、我々が申請書で誤字をしてしまい、更に登記所のチェックもかいくぐってしまった場合、誤った字で登記されてしまいます。
そして、その誤字は登記の記録として半永久的に残ることに・・

勿論そのような事態は決して起こしてはならないので、書類の文字は何度もチェックをします。
（特にお客様の氏名と会社名については、間違えると本当に洒落にならないので更に入念なチェックをします）


そんな文字の中でも、漢字は同じ字でいくつも種類があり、さらにそのうち「正字」と「俗字」に分かれることもあるので、本当に司法書士泣かせです。
ちなみに、「正字」とはその名のとおり「正」統な文「字」のことであり、「俗字」とは「俗」世で使用されている文「字」であるが、「正字」ではないものを指します。 原則として俗字では登記しないため、この違いも正確に把握しておかないといけません。
（牛丼でお馴染み𠮷野家の”𠮷”（正字は吉）は有名な俗字ですね）


あとは、ちょっと形状が違う文字でよく見かけるのが「髙」（高）「舘」（館）「﨑」（崎）などの漢字。
これらは昔は氏名に使える「俗字」でしたが、今では「正字等」という一応「正字」のような微妙な扱いとなりました。これらも比較的間違えやすい文字であり要チェックです！



さらに気を付けなければならないのが、「漢字の種類が多い苗字の二大巨頭」と言われ恐れられている「サイトウさん」と「ワタナベさん」
少し見てみるだけでも、

【サイトウさんシリーズ】斎藤・斉藤・齋藤・齊藤・etc

【ワタナベさんシリーズ】渡辺・渡部・渡邊・渡邉・etc

と、その多さは「正字」だけでも５種類くらい、「俗字」も合わせると二桁届くんじゃないかと・・・

特に【サイトウさんシリーズ】は「サイ」を確認して安心していると、「トウ」にやられてしまうので注意が必要です。（籐・藤・籘etc）
（サイトウさんとワタナベさん。申し訳ありません）



しかし、実はもっと怖い文字があるのですが、その前にここで一つクイズを出したいと思います。


Q：３つの中で①と②が同じ漢字であるものはいくつあるでしょう？
第１問：①黄　②黃
第２問：①奥　②奧
第３問：①緒　②緖






正解は・・実際に見てみましょう。

第１問：①黄　②黃
第２問：①奥　②奧
第３問：①緒　②緖


A:答えは０個

これらの②の文字みたいに、あまり馴染みがなく一見メジャーな漢字と同じ字に見えてしまう文字こそが、一番誤字になりやすい文字だと個人的には思います。
さらに、これらの字が小さいフォントで印刷されていたり、手書きされていたりすると本当に見落としてしまうのです・・・
（緖なんか普通のサイズでも見落としかねません）


複数の種類がある漢字。

歴史や伝統もあるので難しいとは思いますが、いつか是非一つに統一してほしいと少し思うときもあります。
（夜中に一人で書類チェックしてるときです（笑）