相続放棄のトラブル（２０１４／７／１７）

「親が亡くなり、弟の私が相続を放棄したので、一緒に住んでいた兄が家を一人で貰いました。
しかし後日、銀行から親の借金を払うように催告があったのだけど、相続を放棄した私は払う必要はないでしょ？」

と、このような相談があり、詳しく話を聞くと「遺産分割協議」で兄が家を一人で貰ったとのこと。

「遺産分割協議」とは、遺産を誰が貰うか決めるだけの話（今回で言えば家を兄が貰うことを決めただけ）であり、「遺産分割協議」で何も貰わなかったとしても、それは相続を放棄したわけではないため、相続人であることには変わりありません。

そのため、借金は相続することとなり、銀行から請求されたら払わなくてはいけません。

家も借金も相続したくない場合は、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをする必要があります。




「父が亡くなりましたが、父には財産は一切なく借金だらけの状態でした。
相続人であるといわれた私と母が家庭裁判所で相続放棄の手続きをきちんとして安心していました。
ところが、突然叔父から『お前の父の借金を払うように電話が来たがどうなってるんだ！』と怒りの電話がかかってきたのです。
相続人は私と母だけと聞いていたのにどうなってるの？」

確かに、夫が亡くなった場合、妻と子供のみが相続人で間違いありません。
しかし、その子供が家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをしてしまうと、別の人が相続人となるのです。

例：Ａさんが亡くなった場合

Ａさんの子供が全員「相続放棄」　Ａさんの親が相続人となる。

Ａさんの親が全員「相続放棄」　Ａさんの祖父母が相続人となる。

Ａさんの祖父母が全員「相続放棄」　Ａさんの兄弟が相続人となる。
※祖父母の上は亡くなっているものとします

Ａさんの兄弟が全員「相続放棄」　Ａさんの奥さんのみ相続人となる。
※奥さんが相続放棄をした場合、相続人が完全にいない状態となる

今回は、父にすでに親がいなかったので兄弟である叔父が相続人となり、借金の催告がいったのだと思われます。

もちろん、父に親や兄弟がいても「相続放棄」はできますが、事前にその旨だけでも伝えておかないと、今回のようなトラブルになりかねませんので、注意しましょう。