自己破産について誤解されがちなこと（２０１４／９／２１）

「自己破産」

言葉のとおり自ら裁判所に破産を申し出ることです。

不景気と言われ続けている世の中ですが、実は「自己破産」の件数は平成15年以降毎年減り続けていることをご存じでしたか？（私も知りませんでした）



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（裁判所司法統計より）

このように、ピークの平成１５年と比較すると、去年の破産申立件数は半分以下になっているのです。

減少した原因と一つとしては、手前味噌ではございますが、我々司法書士に簡裁訴訟代理権が付与され、債務整理など借金を法律家に相談する敷居が下がったことも一因かと思っております。

しかし、中には「自己破産」をすべき人でも、誤った知識から自己破産をせずに、借金に苦しんでる方がいらっしゃるのも事実です。

そこで、今回はそんな「自己破産」について誤解されがちなことについてお話します。



Q１「自己破産したら、家財道具や衣服まで処分しなければいけませんか？」
A１「処分を命じられる財産の目安としては、換金・売却して２０万円を超えるものが対象となります。（つまり、冷蔵庫やテレビ、洗濯機など一般的な家電製品や衣服はほとんど対象外でしょう）
ただし、５０万円以上する超大型液晶テレビなどは、処分するよう指示が出る可能性があります。」


Q２「破産したら、戸籍や住民票に記載されますか？」
A２「戸籍や住民票には一切記載されません。ただし、役所の破産者名簿に載る可能性があります。また、官報には必ず記載されます。破産者名簿への記載については、同時廃止（破産者の財産が少額など）の場合は裁判所の通達により記載されないそうです。」


Q３「破産者名簿や官報は誰でも見れるの？」
A３「破産者名簿は原則非公開のため、許可がないと見れません。官報は一般の本屋でも購入可能なため、誰でも見れます。」


Q４「破産者名簿は一度掲載されたらずっと残るんですか？」
A４「裁判所より免責許可が出れば削除されます。一般的には数カ月で消えると考えてよいでしょう。」


Q５「破産者名簿はなんのためにあるの？」
A５「破産者が就くことのできない職業に就く際の確認、または納税課が税金の差押えなどの資料にすると言われています。」


Q６「破産者が就くことができない職業？？？」
A６「法律で定められており、弁護士・税理士・司法書士などの士業、または警備員、宅地建物取引業もできません。あとは、会社の取締役もできません。」


Q７「それらの職業には破産したら２度となれないんですか？」
A７「破産の宣告を受けてから免責許可が出るまでなので、一般的には数カ月で消えると考えてよいでしょう」

Q７「選挙権が無くなると聞いたんですが？」
A７「破産の手続きで選挙権が無くなることは一切ありません。ちなみに選挙権が無くなるのは、成年被後見人になった人や禁錮刑以上の刑で服役中の人などです。」